12月1日に一斉配信されますEP SHIWASU が完成する迄のよもやま話をここでご紹介致します。ちょっと長文ですがどうぞお付き合い下さいませ!
かつて海外の音楽市場でご縁ありお仕事させて頂いた折に出逢った沢山の方々から、日本の良さ、日本人の良さ、そして日本の伝統美を気付かせて頂いたと言っても過言ではありません。それによって自分の生まれ育った日本をより尊びたくなる思いがどんどん強まって行きました。
いつの日か日本の和を海外の方々へも浸透しやすく進化した形で音楽というフィルターを通して伝えたいと温めていた心の思いが、今回遂にEP SHIWASUの完成に繋がりました。
音楽の演奏をさせて頂いていた当時の海外の主催地はホテルであれば訪れたゲストがリラックスして安らぎを求めるスペースであり、豪華客船であれば夕日が沈んでデッキから客船内に戻った時にそっと立ち寄りたくなるような静けさと癒し音楽を提供する為のスペースでした。よってそこにいるピアニストの私だけにスポットライトが当たるというよりはお客様の体温をこちらが感じ取ってその場にいる皆が幸せになれる空間を生演奏によって創造することが任務の主旨でした。
その日の客層や雰囲気によって選曲も瞬時に決める、その場の状況に応じて曲順も考えて組み合わせる。曲想もその場の雰囲気に合うようにアレンジして演奏する。お客様の一喜一憂をこちらが読み取って音でお返しをする。洞察力と即戦力、音への対応力が求められるお仕事でした。
その甲斐あり、現在作曲家として活動させて頂く今、柔軟性を持って広がりを見出せていると実感できています。
主催地に訪れるオーディエンスに音楽の提供をする為に心掛けていたことはありましたか?ともし尋ねられたら迷わず
“ゆらぎ” を大切にしていたとお応えします。
演奏家時代は元より、現在作曲家として自分自身の音楽作品をレコーディングする時も、この “ゆらぎ” の音効果を意識して作っています。
人間の安静時の心拍数は1分間に70回前後が理想と言われています。呼吸が安定し静かに過ごせると心が軽くなり気分が晴れ上がりますよね、あの感覚です。
安静時の心拍数と曲のテンポが手を取り合い共存することで “ゆらぎ”が発生します。この様に、人間の心拍数や自然が作り出す音、例えば波の音、カモメが鳴く声、小鳥のさえずり、雨音、そよ風が通り抜ける音、川のせせらぎなどの波動=ゆらぎが人間の生態リズムと共鳴することで精神安定や集中力、生命力や活力を呼び起こす効果があると言われています。こうした不規則と規則的なものが調和した”ゆらぎ”の音楽を聴いて呼吸を和らげ心洗われる気持ちになれるのだとしたらそれは理に叶っている事実なのです。
EP SHIWASUに登場するそれぞれのトラックにもこのゆらぎが反映されております。
是非とも皆さまに御自分の耳でそれを確かめて頂きたく存じます。
EP SHIWASUに収録されているSerenity 、Something a little different 、Shiwasu師走、Sail away には、日本の伝統的な和楽器を登場させています。これらの曲を制作するに当たり、最初音楽のロールモデルがいなかったので制作の過程でかなり勇気を要しました。こうした和の音をオリジナル音楽に取り扱うに当たり、本格的な純邦楽というものを学んだこともなく、そうした音楽に近い環境で育ったわけでもなかったわけですが、邦楽の音源を色々と試聴して行く過程でこうした音は日本で生まれ育った日本人であれば幼い頃から生活の中で耳にしてきた文化の一部の音でもあるはずという結論に至りました。
遺伝子レベルでインプットされている音の記憶を辿りながら細胞に問いかける様にして音を捜しました。浮かんでくる音を模索し、その中で徐々に沸き起こるようにアイデアが浮かび始め、やがてその音が馴染み膨らんで曲が完成しました。
能楽のお囃子のGroove感、津軽三味線や尺八、二十絃箏の楽器本来の持ち味を壊さないように注意を払いながら、対極するリラックスしたピアノや弦楽器のメロディーとリズムに絡ませる。ソフトウエアを活用してコンピューター上でトラックパートを作って行く過程はスリルの連続でした!
音霊の高揚感をこうして皆さまと共有できる2021年に生きている今に感謝と感動の境地です。
今年は世界の和合を以前よりも、もっと、もっと願う場面に多く遭遇した年になりつつあり平和を願う音楽によって一人でも多くの方々の心に幸せの音霊の灯火が宿ることを祈っております。
この場を持って愛でたいご挨拶とさせて頂きます。
ここまでご覧頂きましてありがとう御座いました。
これからも引き続き
どうぞ良しなに
御機嫌好う